
特定原材料 9品目の表示義務は、2026年(令和8年)4月1日から正式に施行されました。 この改正により、従来の特定原材料 8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)にカシューナッツが追加され、合計 9品目が表示義務の対象となりました。
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ただし、施行日から完全義務化までの間には重要な経過措置期間が設けられています。 2026年 4月 1日から 2028年(令和 10年)3月 31日までの 2年間は、事業者に対する周知や原材料確認、容器包装の改版に時間を要することを考慮し、従前の表示(カシューナッツを含まない表示)も認められる猶予期間となっています。
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この経過措置期間中であっても、消費者庁は事業者に対して速やかな対応を求めており、2028年 4月 1日以降はカシューナッツを含む食品への適切な表示が完全に義務化されます。 医療従事者としては、患者さんに食品を選ぶ際の注意点として、この経過措置期間中は「カシューナッツを含む可能性があるが、表示されていない商品も存在する」ということを伝える必要があります。
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現在の特定原材料 9品目は以下の通りです。
この制度は 2001年(平成 13年)に創設され、当初は 5品目(小麦、そば、卵、乳、落花生)から始まりました。 その後、2008年(平成 20年)にえびとかにが追加され 7品目に、2023年(令和 5年)にくるみが追加され 8品目、そして 2026年 4月にカシューナッツが追加されて現在の 9品目となりました。
| 施行年 | 追加品目 | 義務品目数 | 経過措置 |
|---|---|---|---|
| 2001年 4月 | 小麦、そば、卵、乳、落花生 | 5品目 | 1年 |
| 2008年 6月 | えび、かに | 7品目 | 2年 |
| 2023年 4月 | くるみ | 8品目 | 2年(2025年 3月 31日まで) |
| 2026年 4月 | カシューナッツ | 9品目 | 2年(2028年 3月 31日まで) |
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001118342.pdf
このように、食物アレルギーの実態調査の結果を踏まえ、発症数や症状の重篤性が高い品目が段階的に特定原材料に追加されてきました。 医療現場では、この変遷を理解しておくことで、患者さんのアレルギー歴や既往歴をより正確に把握する手助けとなります。
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カシューナッツが特定原材料に追加された背景には、近年の木の実類(ナッツ類)アレルギーの増加と、特にカシューナッツによる重篤な症状の報告が増えているという実態があります。
消費者庁が実施した「令和 6年度 即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」において、木の実類の中でもカシューナッツの症例数、および木の実類の総症例数に占めるカシューナッツの症例数の割合が増加しており、一過性とは考えられないことが判明しました。 この結果を踏まえ、2025年 1月に開催された「食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議(第 7回)」において、カシューナッツを特定原材料に準ずるものから特定原材料へ移行することが適当である旨の方針が示されました。
参考)食品表示法に基づく食品表示基準の一部改正に係る消費者委員会へ…
さらに、カシューナッツの公定検査法(リアルタイム PCR法、PCR-核酸クロマト法、LC-MS/MS法)の確立の目処が立ったことも、義務表示への移行を後押ししました。 検査法が確立されたことで、事業者が原材料中にカシューナッツが含まれているかどうかを客観的に確認できるようになり、表示義務の実効性が高まったのです。
消費者庁「食品表示基準の一部改正等について」
このリンク先には、カシューナッツ追加の正式な告示内容と、改正の背景となった調査結果の詳細が記載されています。
医療従事者にとって重要な点は、くるみに次いでカシューナッツで食物アレルギーを発症する人の割合が高いという事実です。 過去の症例では、カシューナッツによるアナフィラキシーショックなど重篤な症状を起こす例も報告されており、表示義務化は患者さんの安全確保に直結する施策と言えます。
特定原材料 9品目が「表示義務」であるのに対し、「特定原材料に準ずるもの(推奨表示)」は 20品目あります。 2026年 4月の改正で、カシューナッツが義務表示に移行した一方で、新たにピスタチオが推奨表示品目に追加されました。
参考)食物アレルギーの表示について(令和8年4月1日~)/やまなし…
現在の推奨表示 20品目は以下の通りです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001704059.pdf
参考)https://www.naracoop.or.jp/syouhin/anzen05.html
義務表示と推奨表示の最大の違いは、法的な拘束力の有無です。 特定原材料 9品目を含む容器包装された加工食品には、必ずアレルゲン表示を行わなければなりません。一方、推奨表示 20品目については、表示することが望ましいとされていますが、表示しなくても法的な罰則はありません。
ただし、推奨表示品目であっても、アナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こす可能性がある品目が含まれています。 医療従事者が患者さんに指導する際には、「義務表示の 9品目だけでなく、推奨表示の 20品目も含めた合計 29品目に注意が必要」と伝えることが重要です。
食物アレルギー表示制度の基礎知識 — 特定原材料等 29品目とは
このサイトでは、義務表示と推奨表示の違い、制度の対象となる食品、外食が対象外である点などが消費者庁の一次資料に基づいて解説されています。
医療従事者、特に薬剤師や看護師が臨床現場で食物アレルギー表示に関わる際、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
1. 経過措置期間中の患者指導
2028年 3月 31日までの経過措置期間中は、カシューナッツを含む食品でも表示されていない商品が存在する可能性があります。 患者さんには、「パッケージの表示だけでなく、原材料名を必ず確認する」「不明な場合は製造元に問い合わせる」といった指導が必要です。
参考)食品のアレルギー表示について知ろう|「食品衛生の窓」東京都保…
2. 推奨表示品目への注意喚起
義務表示の 9品目だけでなく、推奨表示の 20品目にも注意が必要です。 特に、ナッツ類(アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオなど)は交差反応を起こす可能性があり、カシューナッツアレルギーの患者さんが他のナッツ類にも反応するケースが報告されています。
3. 外食・中食事業者の表示義務の限界
食品表示法に基づくアレルゲン表示は、容器包装された加工食品が対象であり、外食や中食(総菜など)は表示義務の対象外です。 患者さんが外食する際には、直接店舗にアレルギー情報を確認するよう指導しましょう。
4. 医薬品との相互作用の考慮
一部の医薬品には、小麦デキストリンや乳由来の添加物が使用されていることがあります。 食物アレルギーの患者さんに薬剤を処方・調剤する際には、添加物中のアレルゲンにも注意を払う必要があります。
参考)アレルゲン表示完全ガイド【2026年最新】特定原材料9品目と…
5. 最新情報のアップデート
食物アレルギー表示制度は頻繁に改正されています。 2001年の制度創設から現在までに 4回の改正があり、今後も新たな品目が追加される可能性があります。医療従事者は、消費者庁や厚生労働省の公式情報を定期的に確認し、最新知識を維持することが求められます。
消費者庁 食物アレルギー表示に関するページ
この公式ページでは、特定原材料の品目一覧、表示方法、Q&A、改正情報などが掲載されており、医療従事者の情報収集に役立ちます。
ここからは、あまり知られていない意外な情報をお届けします。
意外な事実 1: まつたけが推奨表示から削除された
2024年 3月 28日、推奨表示品目から「まつたけ」が削除され、代わりに「マカダミアナッツ」が追加されました。 まつたけは、食物アレルギーの症例数が極めて少なく、表示を推奨する必要性が低いと判断されたためです。一方、マカダミアナッツはナッツ類アレルギーの増加を踏まえ、表示を推奨する品目として追加されました。
意外な事実 2: 公定検査法の確立が義務化の鍵
カシューナッツの義務表示化には、公定検査法の確立が大きく貢献しました。 リアルタイム PCR法、PCR-核酸クロマト法、LC-MS/MS法という 3つの検査法が確立されたことで、事業者が原材料中にカシューナッツが含まれているかどうかを客観的・科学的に確認できるようになりました。検査法がなければ、表示義務の実効性が担保できず、義務化は見送られていた可能性があります。
意外な事実 3: 表示義務の対象は「容器包装された加工食品」のみ
食品表示法に基づくアレルゲン表示義務は、「容器包装された加工食品」に限定されています。 生鮮食品(野菜、果物、肉、魚など)、添加物のみの食品、酒類、外食・中食は表示義務の対象外です。このため、患者さんがスーパーで購入する際には、加工食品のパッケージ表示だけでなく、生鮮食品の取り扱いにも注意を払う必要があります。
意外な事実 4: 表示方法にもルールがある
特定原材料を含む食品の表示には、具体的なルールが定められています。 例えば、「()」で品目を囲む「(えびを含む)」、または「えび」を太字や色分けで強調するなどの方法が認められています。また、原材料名の欄に「カシューナッツ」と明記するか、アレルゲン情報を一括表示の近くに「特定原材料 9品目」と記載することも推奨されています。
意外な事実 5: 推奨表示品目を分かりやすく表示する努力義務
推奨表示 20品目を含む食品については、「特定原材料 9品目」または「特定原材料に準ずる 20品目を含む 29品目」と、一括表示の外に表示するよう努めることが推奨されています。 これは、消費者が推奨品目を含む食品を分かりやすく識別できるようにするための配慮です。
食品表示基準が改正されました(ラベルバンク)
このサイトでは、2026年 4月の改正内容、通知(食品表示基準 Q&A)の主な改正内容、経過措置期間の詳細などが詳しく解説されています。
食物アレルギー表示制度は、全国実態調査の結果を踏まえ、今後も改正が続く可能性があります。 消費者庁は、定期的に「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」を実施し、症例数や症状の重篤性を分析しています。
今後の改正で特定原材料に追加される可能性がある品目として、以下の品目が候補として挙げられています。
ただし、これらの品目が特定原材料に追加されるかどうかは、今後の実態調査の結果と、公定検査法の確立状況によって決まります。 医療従事者は、消費者庁や厚生労働省の公式発表を定期的に確認し、最新情報をキャッチアップしておくことが重要です。
厚生労働省「食物アレルギー表示制度における 消費者庁の取組」
この資料では、食物アレルギー表示制度のこれまでの変遷、特定原材料 9品目と推奨表示 20品目の一覧、今後の改正動向などがまとめられています。
特定原材料 9品目の表示義務は、2026年(令和 8年)4月 1日から施行され、2028年(令和 10年)3月 31日までの経過措置期間を経て完全義務化となります。 カシューナッツの追加は、木の実類アレルギーの増加と重篤な症状の報告を踏まえた措置であり、患者さんの安全確保に直結する施策です。
医療従事者が患者さんに指導する際のポイントは以下の通りです。
食物アレルギーは、場合によってはアナフィラキシーショックを引き起こし、死に至る可能性もある深刻な健康リスクです。 医療従事者として、正確な情報に基づいた患者指導を行い、患者さんの安全と QOL(生活の質)の向上に貢献することが求められます。
加工食品のアレルギー表示(食物アレルギー研究会)
このサイトでは、食物アレルギーの正しい知識の普及や、医療従事者向けの情報提供が行われています。
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