
「再教育」という楽曲には、実は2つの異なるバージョンが存在することをご存知でしょうか。一つはVOCALOIDプロデューサーのNeruが2012年に発表した鏡音リン・レンによる楽曲、もう一つはロックバンドDEZERTが2022年に発表した楽曲です。
参考)https://www.uta-net.com/song/316118/
この2つの楽曲は、同じ「再教育」というタイトルでありながら、全く異なるメッセージと世界観を持っています。Neru版は「閉ざされた未来」への絶望と反抗を描き、DEZERT版は「自分自身への再教育」による変化と成長をテーマにしています。
参考)https://www.oricon.co.jp/prof/550790/lyrics/175729/
医療従事者の方であれば、同じ病名でも患者によって全く異なる経過をたどることを経験されているでしょう。それと同じように、同じタイトルでもアーティストによって全く異なる意味を持つことがあるのです。
Neru版の「再教育」は、国道沿いに対峙する若者たちの「閉じた未来」から始まります。 この「国道」とは、国が管理する道路、つまり大人たちが用意したレールの上を歩むことを象徴しています。
歌詞の中には「道徳なんて死んじまえ 缶コーラ蹴り飛ばした」という一節があります。これは、社会が求める道徳や規範に対する強烈な反抗の表れです。 さらに「青春なんてこんなもの このセリフ何度目だ」というフレーズからは、若者たちが自分たちの青春を諦めかけている様子が伺えます。
最も衝撃的なのは、「生き急いでいた彼女は 昨日郊外の倉庫で 歪な顔をして ビニールテープを 首に巻いた」という部分です。 これは、主人公の一人である「山口さん」という少女が、用意されたレールに逆らえぬまま命を絶ったことを示唆しています。
初音ミク Wikiの再教育ページには、この楽曲の詳細な歌詞とタグ情報が記載されています。
この楽曲には、「山口さん」と「田中くん」という二人の登場人物が登場します。 山口さんは、大人たちの教育に逆らいきれず、屋上階で目を瞑り、重力場に逆らうような行動をとりますが、最終的には郊外の倉庫で命を絶ってしまいます。
一方、田中くんを含む「僕ら」は、山口さんの死を目撃しながらも、「我儘のナイフで夢を脅す 僕らの明日が泣き叫んだ」と歌われるように、自分たちの夢を脅かす存在として描かれています。
意外な事実として、この楽曲は「アブストラクト・ナンセンス」という別の楽曲とつながっていることが知られています。 アブストラクトの主人公は、黒い制服を着た少女で、自殺ばかり考えていたという設定です。再教育は、その物語の続きとして解釈することができます。
参考)鏡音リンとレンの「再教育」という曲の解釈教えて下さい!! -…
OriconのNeru歌詞ページでは、全歌詞を確認することができます。
DEZERT版の「再教育」は、Neru版とは全く異なるメッセージを持っています。「ラッパッパラッパ 再教育です」という印象的なフレーズから始まるこの楽曲は、「さぁ学びなさい さぁ学びなさい」と繰り返しながら、自分自身への再教育を促します。
参考)”再教育 (Album Mix)” by DEZERT - …
最も重要な一節は、「求めたのは『未来』じゃない そうです 今だけです」という部分です。 未来を待つのではなく、今この瞬間を変えることの重要性を訴えています。
そして楽曲の最後は、「自分-未来-への再教育 じゃなきゃもう過去すら笑えないや」と締めくくられます。 これは、未来を見据えた上で自分自身を再教育し、やがては過去さえ昇華したいという貪欲な姿勢を表しています。
BARKSのDEZERTライブレポートでは、この楽曲がライブツアーのタイトル曲として使われた経緯が詳しく解説されています。
医療従事者として働く皆さんにとって、この「再教育」というテーマは他人事ではありません。日々変化する医療現場において、私たちも常に「自分自身への再教育」を求められているからです。
Neru版の歌詞に登場する「閉じた未来」という表現は、時に医療現場でも感じられることがあるかもしれません。しかし、DEZERT版が示すように、「求めたのは未来じゃない そうです 今だけです」。 未来を待つのではなく、今この瞬間から変えていくことが重要です。
「言うこと聞かない奴は先生に言い付けるぞ」という歌詞は、 医療現場における上下関係や権威主義を思い起こさせるかもしれません。しかし、本当の教育とは、そのような管理ではなく、自分自身で考え、学び、成長していくことではないでしょうか。
Weblio英和・和英辞典の再教育ページでは、「再教育」の英語表現としてre-education、retraining、in-service trainingなどが紹介されています。医療従事者にとってのin-service training(現職教育)は、まさにこの「再教育」の概念そのものです。
この楽曲の歌詞を深く読み解くことで、単なる音楽の enjoyment を超えて、自分自身の働き方や生き方について考えるきっかけになるはずです。あなたはこの歌詞から、どのようなメッセージを受け取りましたか。