
クロルタリドンは、日本において2008年以降、販売が中止されている医薬品です。 商品名「ハイグロトン錠50mg」(ノバルティス ファーマ株式会社)が国内で製造販売されていましたが、現在は入手できない状況にあります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-11e.pdf
この販売中止の背景には、以下のような要因が考えられます。
ただし、販売中止は「安全性上の問題」によるものではない点に注意が必要です。 海外では現在も高血圧治療の第一選択薬として使用されており、安全性・有効性は確立されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000jff9-att/2r9852000000jfp9.pdf
意外な事実として、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」においても、クロルタリドンの名前が言及されています。 利尿薬の選択肢の一つとして認識されているものの、国内での入手性が課題となっています。
参考)https://www.radionikkei.jp/yakugaku/docs/yakugaku-251211.pdf
日本高血圧学会が2025年に改訂した「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、降圧目標値を原則130/80mmHg未満に統一しました。 このガイドラインにおいて、利尿薬は以下の位置づけで記載されています。
参考)「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」-…
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-11c.pdf
クロルタリドンに関する具体的な記載は以下の通りです。
| 一般名 | 添付文書用量 | 適正用量 |
|---|---|---|
| クロルタリドン | 50-100mg | 6.25-25mg |
| ヒドロクロロチアジド | 25-100mg | 6.25-25mg(最大50mg) |
| トリクロルメチアジド | 2-8mg | 0.5-2mg |
| インダパミド | 2mg(適宜増減) | 0.5-2mg |
この表から明らかなように、従来の添付文書用量よりも少量での使用が推奨されています。これは、サイアザイド系利尿薬の代謝副作用(低カリウム血症、高血糖、高尿酸血症など)を最小限に抑えるためです。
クロルタリドンは現在、日本国内で薬価収載されていないため、薬価基準収載品目リストには掲載されていません。 2026年7月現在の薬価調査においても、クロルタリドン製剤の取扱いは確認できません。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/tp20260401-01.html
一方、代替薬となる他のサイアザイド系利尿薬の薬価は以下の通りです(2025年4月以降の薬価)。
参考)https://yakka-search.com/index.php?s=+&scd=7&stype=1&p=494scd=7href="https://yakka-search.com/index.php?s=+&scd=7&stype=1&p=494">https://yakka-search.com/index.php?s=+&scd=7&stype=1&p=494stype=1href="https://yakka-search.com/index.php?s=+&scd=7&stype=1&p=494">https://yakka-search.com/index.php?s=+&scd=7&stype=1&p=494p=494" target="_blank" rel="noopener">検索キーワード「 」 - 薬価サーチ2026【薬価検索&添付…
これらの薬価は、医療経済的観点からもサイアザイド系利尿薬が高血圧治療においてコストパフォーマンスに優れた選択肢であることを示しています。
医療上の必要性に係る基準に基づき、国内未承認医薬品の早期承認・薬価収載が検討される場合がありますが、 クロルタリドンについては2026年現在、具体的な動きは見られません。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001699516.pdf
クロルタリドンが国内で入手できないため、「海外から個人輸入できないか」と考える医療従事者や患者もいるかもしれません。しかし、医薬品等の個人輸入には重大なリスクと法的制限があります。
個人輸入の法的制限
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/sonota/9005_jr.htm
参考)https://www.kr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/medicines_japan.html
品質・安全性のリスク
厚生労働省は、「自己判断で使用すると重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品」について、数量に関係なく医師による処方が確認できない限り、一般の個人による輸入を認めていません。 クロルタリドンは処方せん薬に該当するため、この制限が適用されます。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1806_jr.htm
医療従事者としても、患者に個人輸入を推奨することは避けるべきです。 代わりに、国内で承認されている代替薬(ヒドロクロロチアジド、インダパミド、トリクロルメチアジドなど)の適切な使用を指導することが重要です。
参考)医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省
クロルタリドンに関する意外な事実として、海外と日本での評価の差が挙げられます。
米国高血圧ガイドラインでの位置づけ
参考)Table: 小児の高血圧に対する経口サイアザイド系利尿薬-…
参考)高血圧治療におけるサイアザイド利尿薬の重要性とエビデンス
日本との比較
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| クロルタリドン 入手性 | 2008年 販売中止 | 第一選択薬として使用 |
| 高血圧ガイドライン | 記載あり(入手不可) | 優先的に推奨 |
| 代替薬 | ヒドロクロロチアジド、インダパミド | クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド |
| 用量の傾向 | 少量(6.25-25mg) | 標準量(12.5-25mg) |
参考)2種利尿薬、大規模試験で心血管転帰を直接比較/NEJM|医師…
DCP試験の結果(2022年)
2022年に報告された大規模プラグマティック試験(DCP試験)では、クロルタリドンとヒドロクロロチアジドを直接比較しました。 対象は65歳以上の高血圧患者1万3,523例、平均追跡期間2.4年でした。
結果は以下の通りでした。
この結果は、ヒドロクロロチアジドでも適切な用量で使用すれば、クロルタリドンと同等の心血管保護効果が得られることを示唆しています。
厚生労働省「医療上の必要性に係る基準」への該当性 国内未承認医薬品の早期承認の基準について記載
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品 添付文書等情報検索 国内承認医薬品の添付文書検索
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン 最新の高血圧治療ガイドライン
厚生労働省 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ 個人輸入のリスクと注意点
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