
クローン病の初期症状として最も頻度が高いのが、腹痛と下痢です。患者さんの半数以上にこれらの症状が認められ、特に右下腹部に痛みを感じることが特徴的です。
症状の進行とともに、以下のような全身症状が現れることがあります。
これらの症状が慢性的に続き、寛解(症状が安定している状態)と再発を繰り返すのがクローン病の特徴です。若年層、特に10代から20代の方に多く発症し、30代以降も発症する可能性があります。
参考)クローン病の初期症状や治療法・食事について医師が詳しく解説
夜間の就寝中に腹痛で目が覚めたり、排便のためにトイレに何度か行きたくなったりする症状も、クローン病を疑う重要なサインです。
参考)IBDチェックシート-武田薬品工業|炎症性腸疾患(潰瘍性大腸…
クローン病の患者さんの70〜80%に肛門病変が合併します。これはクローン病の非常に特徴的な所見であり、消化器症状が現れる前に肛門病変だけで診断されるケースも少なくありません。
参考)https://www.isoda.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/000057311.pdf
肛門病変には以下のようなものがあります。
特に、裂肛が大きい、側方にある、潰瘍のような形態をしている場合、クローン病を強く疑う必要があります。また、やせ形の体型で傷が治りにくい、痔瘻が深く複雑であるといった特徴も、クローン病に伴う肛門病変の重要な所見です。
クローン病の診断は、一つの検査だけで決まるものではなく、複数の所見を組み合わせて総合的に判断されます。2019年改訂の診断基準では、以下の主要所見と副所見が定められています。
参考)https://www.jimro.co.jp/pdf/h30_CD_shindan_2019-01.pdf
主要所見
副所見
確診例となるのは、主要所見の縦走潰瘍または敷石像を有する場合、あるいは主要所見の肉芽腫と副所見のいずれか1つを有する場合です。ただし、縦走潰瘍のみの場合は虚血性腸病変や潰瘍性大腸炎を除外する必要があり、敷石像のみの場合は虚血性腸病変を除外する必要があります。
参考)https://www.pref.aichi.jp/kenkotaisaku/tokuteisikkan/beppyo/kizyun/kizyun170.doc
内視鏡検査でこれらの所見が確認できれば、クローン病と診断されます。早期の検査で正確な診断と治療方針の決定ができます。
クローン病が疑われる場合、以下の検査が行われます。
血液検査
参考)クローン病
内視鏡検査
画像検査
クローン病では消化管全体の検査が必要となるため、これらの検査を組み合わせて総合的に評価します。症状が強い場合にはCTやMRI検査により、狭窄や膿瘍の病変を確認する必要があります。
参考)クローン病
クローン病の治療は、症状の程度や病変の範囲、合併症の有無に応じて個別に選択されます。治療の目標は、寛解の導入と維持、QOL(生活の質)の向上です。
参考)https://www.jimro.co.jp/pdf/h30_CD_geka_chiryou_2018-1.pdf
薬物療法
参考)3.クローン病初期治療(1)抗TNFα抗体から開始する立場か…
生物学的製剤は、2002年にインフリキシマブ(レミケード)が承認されて以来、クローン病治療の考え方を大きく変えました。約8割の患者に有効であり、内視鏡的粘膜治癒を達成することも可能です。
外科治療
絶対的手術適応には、穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症、内科的治療で改善しない腸閉塞、膿瘍などがあります。相対的手術適応には、難治性腸管狭窄、内瘻、外瘻、難治性肛門部病変などがあります。
腸管温存を原則とし、合併症の原因となっている主病変部のみを対象とした小範囲切除術や、限局性の線維性狭窄では狭窄形成術を行います。
武田薬品工業が提供する「IBDチェックシート」では、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病)の早期発見を目的に、以下の8項目のセルフチェックが可能です。
これらの項目に該当する場合は、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)が疑われます。正しい診断を受けるためには、必ず医師の診察を受けてください。
IBDチェックシート - 武田薬品工業
このリンクでは、腹痛や下痢などの症状をセルフチェックできる8項目のチェックシートが提供されています。所要時間は2〜3分で、炎症性腸疾患の早期発見に役立ちます。
クローン病が進行すると、腸管の炎症が慢性化し、以下のような合併症が生じることがあります。
腸管狭窄と閉塞
瘻孔形成
その他の合併症
これらの合併症は、クローン病の診断を確定する重要な所見となることもあります。特に、肛門病変や瘻孔形成は、クローン病を強く疑わせる特徴的な病変です。
クローン病は、症状が改善しても再発を繰り返しやすいことが特徴です。寛解(症状がなく安定している状態)を維持するためには、以下の対策が重要です。
生活習慣の改善
食事療法
薬物療法の継続
クローン病は完治が難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の改善により、寛解を維持し、QOLを向上させることが可能です。
MSDマニュアル−プロフェッショナル版 クローン病
このリンクでは、クローン病の病因、病理生理学、症状、徴候、診断および予後について、医療従事者向けの詳細な情報が提供されています。
慶應義塾大学病院 KOMPAS クローン病
このリンクでは、慶應義塾大学病院の医師、スタッフが作成したクローン病の医療・健康情報が提供されています。患者さんとそのご家族の皆さんへ、病気、検査、栄養、くすりなど、広く医療と健康に関わる情報を提供しています。
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