授乳後すぐに葛根湯を飲むと、赤ちゃんが母乳を通じて頻脈や顔のほてりを起こすリスクがある。
クラシエ葛根湯エキス細粒の添付文書(医療用)では、授乳婦への投与について「禁忌」とは明記されておらず、「9.6 授乳婦」の項に「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」と記載されている。 これはいわゆる「有益性投与」の考え方であり、医師・薬剤師が個別に判断する必要があることを意味する。つまり一律に「禁止」でも「安全」でもない、ということですね。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=00053300
重要なのは、医療用漢方エキス製剤の中で妊婦・産婦・授乳婦への投与が明確に「禁忌」とされている製剤は存在しないという点である。 一方で、大黄(だいおう)を含む漢方製剤については授乳中の服用を避けるか、授乳を一時中止することが望ましいとされる。 葛根湯には大黄は含まれないため、その点では相対的に安全性が高い部類に属する。
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OTC(市販)のクラシエ葛根湯については、医療用と基本的な生薬成分は同じである。 ただし、一般用漢方製剤では安全性を考慮して1日服用量中の成分量が医療用より少ない場合があることも知っておきたい。 市販品と医療用とで成分量が異なる点を患者に説明できることが、医療従事者としての重要なポイントになる。
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今日の臨床サポート:クラシエ葛根湯エキス細粒の添付文書情報(9.6 授乳婦の項を確認)
葛根湯が授乳中の安全性で最も議論されるのが、マオウ(麻黄)に含まれるエフェドリン(エフェドラアルカロイド)の母乳移行問題である。 エフェドリンには交感神経刺激作用(興奮作用)があり、これが母乳を通じて乳児に伝わると頻脈や顔のほてりを引き起こす可能性がある。 これは看護師・薬剤師が患者指導の際に必ず把握すべき副作用リスクだ。
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ただし、個体差がある点は無視できない。一定数の敏感な乳児ではわずかなエフェドリン移行でも反応が出る可能性があるため、服用期間中は乳児の状態(機嫌・脈拍・顔色)を観察するよう伝えることが原則である。 乳児への影響はほとんどないが、ゼロではないということですね。
医療従事者が患者に伝えるべき実践的な服用指示として、タイミングの調整が最重要となる。葛根湯服用後、成分(エフェドリン)の血中・母乳中濃度がピークに達するのは服用後30分〜2時間程度とされており、この時間帯を避けることで乳児への影響をさらに低減できる。 授乳直後に服用し、次の授乳まで4時間程度空けることが推奨されている。
また、葛根湯は本来「食前(食事30分前)」または「食間(食後2〜3時間)」に服用するよう設計されており、胃の中が空の状態での吸収が前提である。 つまり食後すぐに飲むと効果が落ちる可能性があるため、「授乳後すぐ→食間タイミングで服用→4時間空けて次の授乳」という流れが最も理にかなった運用となる。これは使えそうな実践パターンですね。
参考)よくあるご質問
どうしても不安な場合は、服用後の1回の授乳のみミルクに切り替える方法もある。 ただし、長期間にわたって授乳を中断すると乳汁分泌が低下するリスクがあるため、必要最小限の回数にとどめることを説明することが大切だ。 授乳を全面中止することなく、1回だけ切り替えるのが条件です。
葛根湯に含まれる7種類の生薬(カッコン・タイソウ・マオウ・カンゾウ・ケイヒ・シャクヤク・ショウキョウ)のうち、カンゾウ(甘草)に含まれるグリチルリチンには抗炎症作用があり、乳腺の炎症を抑制するメカニズムが推定されている。 また、葛根湯全体の発汗・血行促進作用が乳管の通りをよくすることへの寄与も考えられる。結論として、乳腺炎初期の保存的治療の選択肢として理にかなっているということです。
参考)葛根湯の授乳中と妊婦・妊娠中の使用|ツムラやクラシエの製品、…
🩺 授乳中の乳腺炎初期に葛根湯を選択する際の目安。
市販品(OTC)と医療用漢方製剤の違いを患者が誤解しているケースが多い点は、現場で特に注意が必要だ。薬剤師の中には「処方薬でないから確実ではない」と慎重な姿勢を示すケースもあるが、これは医療用と成分が同じであることを踏まえると、必ずしも正確な情報伝達ではない。 一般用漢方製剤は成分量が少ない場合があることも合わせて伝えることで、患者が正しく判断できるようになる。
📊 医療従事者が患者に伝えるべき「クラシエの葛根湯 授乳中」チェックポイント。
| 確認項目 | 内容・推奨事項 |
|---|---|
| 禁忌の有無 | 禁忌ではなく「有益性投与」の扱い(添付文書9.6項) |
| 主要リスク成分 | マオウ(エフェドリン)の母乳移行:約1/100程度 |
| 乳児観察ポイント | 頻脈・顔のほてり・不機嫌など |
| 服用タイミング | 授乳直後に服用→次回授乳まで4時間空ける |
| 服用方法の原則 | 食前または食間(食後2〜3時間)、水または白湯で |
| 大黄含有の確認 | 葛根湯には大黄は含まれず、授乳中回避の対象外 |
| 使用を避ける目安 | 乳児に頻脈・興奮症状が出た場合は直ちに中止 |
独自視点として押さえておきたいのが、「母乳の出すぎる人と出ない人で葛根湯の作用方向が異なる」という点である。 葛根湯は乳汁分泌を双方向に調整する可能性が指摘されており、乳汁分泌が過多なケースでは分泌を抑制する方向に、不足するケースでは改善に向かう可能性があるとされる。 また、母親が服用した葛根湯の成分を含む母乳を乳児が飲むことで、乳児の黄疸予防効果があるとも言われており、一部の産科での積極的活用の背景にもなっている。 漢方薬の「証(しょう)」に基づく双方向調整という考え方と一致しており、単なる風邪薬の枠を超えた有用性が授乳期に存在するということが分かる。
OTC医薬品情報:葛根湯の授乳中・妊婦使用についての詳細解説(クラシエ・ツムラ製品含む)
千里丘かがやきクリニック:授乳中に飲んでも大丈夫な漢方薬(大黄含有の禁忌ラインの解説を含む)