あなたの厚塗り、実は飲み薬と同じ効果に。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ軟膏0.5%)は、1日2回、1回あたり5gまでという用法・用量が定められています。顔全体に塗る場合の目安はおよそ1FTU、つまり人差し指の第一関節分をチューブから出した量です。
これはハガキ1枚分ほどの面積をカバーできる量に相当します。
分子量が約310と小さいため経皮吸収されやすく、規定量を超えて使用すると血中濃度が上昇し、全身性の影響につながる懸念があります。実際、経口JAK阻害薬であるトファシチニブの反復投与時の最高血中濃度と比較検討されており、塗る量を軽視できない薬剤だと分かります。
つまり「外用薬だから塗り過ぎても安心」という考えは危険ということですね。
処方時には患者に対して、1日2回・12時間間隔を守るよう具体的に説明することが望まれます。塗布量を測るスケールとしてFTU(フィンガーチップユニット)の説明シートを診察室に用意しておくと、患者への指導が格段にしやすくなります。
ステロイド外用薬と違い、コレクチムは皮膚萎縮や毛細血管拡張といった長期使用特有の副作用が少ないとされています。そのため「ステロイドが使いにくい顔・首まわりに使いやすい薬」という印象を持たれがちです。
参考)【医師解説】コレクチム軟膏とは?効果と副作用を5分で完全解説…
しかし副作用がゼロというわけではありません。
第III相試験の併合解析では、適用部位毛包炎が3.6%(18/506例)、適用部位ざ瘡が3.2%(16/506例)で報告されています。これは100人に処方すれば3〜4人程度に生じる計算で、決して無視できる頻度ではありません。
厳しいところですね。
さらに接触皮膚炎も4.5%(23/506例)に見られ、うち1.0%では投与中止に至っています。湿疹の悪化なのか薬剤による接触皮膚炎なのかの鑑別は難しく、判断に迷う場合は塗布を一時中止して経過を観察する方法が有効です。
症状が改善した後も、自己判断で中断せず医師の指示に従うことが原則です。皮膚の赤みが消えても、触るとザラつきが残っている場合はまだ炎症が皮膚の奥に残っている可能性があります。
参考)コレクチム軟膏の塗り方
つまり見た目だけで治療終了を判断するのは早計ということです。
改善後は週2回程度の頻度で塗布を継続するプロアクティブ療法が選択肢になります。この方法は再燃を防ぎつつ薬剤の総使用量を抑えられるため、患者説明の際に紹介しやすい考え方です。
一方で、治療開始から4週間使用しても皮疹の改善が見られない場合は使用を中止するという規定もあります。漫然と長期使用を続けないことが条件です。
コレクチムは粘膜、ジュクジュクした部位、とびひやヘルペスなどの感染部位には使用できません。免疫抑制作用を持つため、感染症がある部位に塗ると症状を悪化させるおそれがあるからです。
保湿外用薬との併用は臨床試験でも制限されておらず、併用して問題ないとされています。ただしタクロリムス軟膏との同一部位併用は、両剤とも免疫抑制作用を持つため慎重な判断が必要です。
同一部位への光線療法併用も、紫外線による皮膚腫瘍発生リスクが高まる可能性が否定できないとされています。患者が美容目的の光治療を並行して受けていないか、問診で確認しておくと安心です。
日本皮膚科学会が公開する安全使用マニュアルには、用法用量の根拠や副作用データが詳しくまとめられています
臨床現場で見落とされやすいのが、コレクチム使用中に出現した毛包炎やざ瘡を「アトピー性皮膚炎の丘疹」と誤認してしまうケースです。両者は見た目が似ているため、経験の浅いスタッフほど区別に迷います。
どちらか判断がつかない場合はどうなるんでしょう?
このような場合、まず該当部位への塗布を一旦中止し、経過を観察するのが基本です。改善が見られれば薬剤性の可能性が高く、必要に応じて外用または経口の抗菌薬による治療を検討します。
カポジ水痘様発疹症などヘルペスウイルス感染症の合併にも注意が必要です。第III相試験の併合解析では単純ヘルペスが3.0%、カポジ水痘様発疹が3.4%の頻度で報告されています。
痛いですね。
顔は目立つ部位であるだけに、こうした副作用のサインを患者自身が「治療の失敗」と誤解しないよう、事前の説明が重要になります。診療録に副作用の好発時期や頻度をまとめたチェックリストを添付しておくと、複数のスタッフで対応する際の判断のブレを減らせます。
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