
日本医師会総合政策研究機構が2023年11月に実施した「日本の医療に関する意識調査」によると、全国の20歳以上の男女1,162人を対象に調べた結果、かかりつけ医が「いる」と答えた人は56.9%でした。 逆に「いない」と答えた人は42.3%に達し、約4割の人がかかりつけ医を持っていない実態が明らかになりました。
参考)「かかりつけ医」いる56.9%、日医総研調べ - CBnew…
この割合は2017年、2020年、2022年の調査でもいずれも55%台で推移しており、コロナ禍でかかりつけ医の必要性が議論されたにもかかわらず、急激な変化は見られていません。 厚生労働省の患者調査でも、外来受診者のかかりつけ医師のいる者は64.1%、入院患者では63.8%と、やはり約4割がいない状況が続いています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/00/kekka-2.html
自治体別の調査でも同様の傾向が見られます。愛知県の調査では、かかりつけ医が「いない」と答えた人が32.3%で、これも約3割に達しています。 地域差はあるものの、全国的に約4割の人がかかりつけ医を持っていないのが現状です。
参考)https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/478099.pdf
年齢別に見ると、かかりつけ医がいない割合には顕著な世代間格差が存在します。20代では70.7%、30代では67.7%が「かかりつけ医がいない」と回答しており、若年層ほどかかりつけ医を持っていない傾向が強く見られます。
参考)https://www.pluswellness.com/pluscolumn/detail.php?column_id=1444
一方、高齢になるほど「いる」割合は高くなり、60代では66.8%、70歳以上では81.9%がかかりつけ医を持っていると回答しています。 日本医師会の別の調査では、70歳以上の高齢者の76.5%がかかりつけ医を持っている一方、30歳未満では29.7%しか持っていないという結果も報告されています。
参考)かかりつけ医がいない!【どうすればいいの?】
男女別では、女性の方が男性よりも「いる」とする割合が高く、ほぼ全世代で62.2%でした。対して男性は49.9%と、男性の方が約半数がかかりつけ医を持っていないことになります。 この背景には、女性の方が健康意識が高く、定期的な健診や婦人科受診の機会が多いことが影響していると考えられます。
かかりつけ医がいない人にその理由を尋ねた調査(複数回答可)では、「あまり病気にかからないので必要ない」が69.7%で圧倒的に最多でした。 次いで「その都度医療機関を選ぶ」が26.2%、「どのような医師が適しているか分からない」が22.0%の順でした。
愛知県の調査では、「どの医師が、自分の『かかりつけ医』かわからないから」が33.5%と最も高く、続いて「必要がない(病気にならない)から」が33.3%、「特に理由はない」が25.5%でした。 「どの医師がかかりつけ医か分からない」という回答が多いことは、かかりつけ医の定義や役割が一般の人々に十分浸透していない可能性を示唆しています。
意外な点として、「通院や受診に不便だから」という理由はそれほど多くなく、地理的なアクセスの問題よりも、心理的なハードルや認識の不足が主要な要因であることが分かります。多くの人が「病気にかからない=かかりつけ医は不要」と考えていますが、予防医療や健康相談という観点からは、健康な時こそかかりつけ医を持つ意義があります。
厚生労働省「患者調査」- かかりつけ医師の状況 最新の公的調査データが確認できます。
かかりつけ医がいない背景には、医療制度の構造的な課題も影響しています。厚生労働省はかかりつけ医を「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しています。
参考)厚生労働省|「かかりつけ医」ってなに?
しかし、この機能が十分に発揮されていない実態があります。診療時間外の医療連携体制が構築されていない、地域医療と在宅支援の推進が不十分、患者への分かりやすい医療情報提供がされていないといった課題が指摘されています。
特に、都市部では医療機関の選択肢が多く、「その都度医療機関を選ぶ」という行動が取りやすい一方で、かかりつけ医との継続的な関係構築が難しいという側面があります。また、かかりつけ医が対応できない治療や検査があるのではないかという不安も、機能不全の一因と考えられます。
参考)https://www.city.sapporo.jp/kenko/wellness/iryou/torikumi/documents/12kakaritsukei.pdf
日本医師会は、かかりつけ医機能について「地域における面としてのかかりつけ医機能」を提唱し、医療的機能と社会的機能の両面から包括的な役割を求めています。 しかし、この概念が一般市民に十分浸透していないことが、かかりつけ医がいない人の多さにつながっている可能性があります。
参考)https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20221102_11s.pdf
厚生労働省「かかりつけ医機能について」- 制度の整備状況 制度の全体像が把握できます。
かかりつけ医がいないことが経済的に不利に働くケースがあります。紹介状なしで大病院を受診すると、初診料に加えて選定療養費(特別料金)が加算されます。2022年10月1日以降、この特別料金の下限額は引き上げられ、医科で7,000円以上、歯科で5,000円以上が自己負担となります。
参考)知ってお得!医療費節約術!
この選定療養費は保険適用外のため全額自己負担です。一方、かかりつけ医から紹介状を書いてもらう場合、費用は保険適用で3割負担なら約750円程度ですみます。 大きな病院での治療を終えた後、かかりつけ医へと「逆紹介」することで、医療費の節約と地域医療の活性化につながります。
参考)かかりつけ医とは?
長期的な目線で見ると、かかりつけ医を持つことで以下のような経済的メリットがあります:
「かかりつけ医がいない」と答えた人の多くは「あまり病気にかからない」という理由ですが、健康な時こそ予防医療や健康診断を受け、将来的な医療費支出を抑制する視点が重要です。
NTN健康保険組合「知ってお得!医療費節約術!」- 医療費節約の具体例 節約の具体例が分かりやすく解説されています。
【指定第2類医薬品】イブクイック頭痛薬DX 60錠