
ホリゾン(一般名:ジアゼパム)は、犬のてんかん発作、特に発作重積(continuous seizure)の緊急治療において第一選択薬として広く用いられています。てんかん発作が5分以上持続する場合、または短時間に複数回発作が繰り返される場合は「発作重積」として緊急対応が必要となり、この状況でホリゾンの静脈内投与が推奨されます。
参考)犬の発作重積 – さだひろ動物病院 松戸市新松戸…
用量は0.5〜2 mg/kgを静脈内投与(IV)とし、効果が不十分な場合は3〜4分後に再投与が可能です。ただし、作用時間が短い(半減期15〜20分)ため、持続的な発作抑制には追加の抗てんかん薬(フェノバルビタールなど)との併用が必要になることがあります。
また、血管確保が困難な場合、直腸内投与(坐薬:0.5〜1 mg/kg)が行われることもあります。自宅で発作が起きた場合に備え、獣医師から坐薬を処方されているケースも少なくありません。
参考)https://sacrfy220.secure.ne.jp/ksvet/ksa/003/3-6.html
ホリゾンは、食欲増進剤としても犬に使用されることがあります。ジアゼパムは脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し、GABA(γ-アミノ酪酸)という神経伝達物質の効果を高めることで、摂食中枢を刺激し食欲を促進します。
慢性腎臓病やがんなどの疾患により食欲不振が続く犬において、一時的な食欲促進を目的として経口投与(錠剤)されることがあります。ただし、猫では長期投与により重度の肝障害を引き起こすリスクがあるため推奨されませんが、犬では比較的安全に使用可能です。
ホリゾン投与後、多くの犬で「脱力状態(ぐにゃぐにゃになる)」が観察されます。これは副作用ではなく、薬理作用による鎮静・筋弛緩効果であり、発作を止めるために期待される反応です。
参考)ホリゾン投与10分後、グニャグニャの脱力状態に。副作用なのか…
脱力状態は投与後10分程度で現れ、2〜3時間持続することがあります。愛犬が急に動かなくなると飼い主は不安になりますが、これは正常な反応であり、発作抑制が働いている証拠です。ただし、呼吸抑制や過度の鎮静が現れた場合は獣医師の指示に従う必要があります。
参考)ホリゾン投与10分後、グニャグニャの脱力状態に。副作用なのか…
ホリゾンは、てんかんや食欲増進だけでなく、犬の行動治療(行動医学)にも応用されることがあります。分離不安、恐怖症、攻撃性などの問題行動に対し、不安を軽減し全体的な脳活動を低下させる効果を利用します。
用量は体重1 kgあたり0.5〜2 mgを1日2〜4回に分けて経口投与します。ただし、長期使用では耐性が生じやすく、効果が減弱する「ハネムーン効果」が報告されているため、継続的な使用は慎重に検討する必要があります。
行動治療においては、薬物療法だけでなく、行動修正トレーニングや環境調整との併用が不可欠です。ホリゾンはあくまで補助的な役割であり、根本的な解決には専門的な行動カウンセリングが推奨されます。
ホリゾンの投与経路には、静脈内投与、経口投与、直腸内投与(坐薬)があり、それぞれ目的が異なります。