
腹圧性尿失禁(Stress Urinary Incontinence: SUI)は、くしゃみ、咳、笑い、走る、ジャンプ、重い物を持ち上げるなどの動作で腹圧が高まった際に、不随意に尿が漏れてしまう状態を指します。 この状態は、膀胱や尿道を下から支えている「骨盤底筋群」という筋肉が緩んでしまっていることが主な原因です。
参考)https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/stress-incontinence/symptoms-causes/syc-20355727
骨盤底筋群は、膀胱・子宮・直腸などの骨盤内臓器をハンモック状に下から支える筋肉群で、尿道や肛門を締める働きも担っています。 この筋肉群が何らかの理由で弱くなると、腹圧がかかった際に尿道を支えきれなくなり、尿道が閉じている圧が低くなります。 その結果、腹圧がかかって膀胱内の圧が少し上昇しただけで尿道の閉鎖圧を上回ってしまい、尿が漏れてしまいます。
参考)腹圧性尿失禁
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妊娠・出産、特に経膣分娩は、腹圧性尿失禁の最も重要なリスク要因の一つです。 分娩時に骨盤底にある筋肉や靭帯が伸びたり傷ついたりすることで、骨盤底筋群の機能低下が生じます。
経膣分娩による物理的な筋肉・神経のダメージは、腹圧性尿失禁の発症に直接的に関与しています。 出産による組織や神経の損傷は、分娩直後に尿失禁が開始することもあれば、数年後に発症することもあります。
重要なポイントとして、以下の要因がリスクを高めます:
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加齢は、腹圧性尿失禁の発症に大きく関与する非修飾可能なリスク要因です。 年齢を重ねることで、筋肉は徐々に衰え、骨盤底筋群も例外ではありません。
加齢に伴う主な変化には以下があります:
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特に閉経後のホルモン変化は、腹圧性尿失禁の発症に重要な役割を果たします。 エストロゲンは、尿道粘膜の健康維持や、尿道括約筋の機能に重要な役割を果たしています。 エストロゲンが低下すると、尿道粘膜が薄くなり、尿道閉鎖圧が低下します。
40代以降の女性では、尿失禁を含む尿トラブルを抱える方が少なくありません。 実際、40代以降の女性の約4割が尿もれを経験すると言われており、これは身近な悩みです。
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肥満、便秘、慢性咳嗽は、腹圧性尿失禁の重要な修飾可能なリスク要因です。 これらの要因は、慢性的な腹圧上昇を引き起こし、骨盤底筋に継続的な負担をかけます。
肥満の影響:
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便秘の影響:
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慢性咳嗽の影響:
その他、慢性的な腹圧上昇要因:
参考)https://0thclinic.com/medical/urology/conditions/stress-urinary-incontinence
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腹圧性尿失禁の原因として、一般的に知られている要因以外にも、あまり注目されていない意外なリスク要因が存在します。これらの要因を理解することで、患者指導や予防策の幅が広がります。
近年の研究では、骨盤底支持組織のコラーゲン代謝の異常が、腹圧性尿失禁の発症に関与していることが示唆されています。
子宮摘出術の既往:
子宮摘出術(特に経膣的子宫摘出術)は、骨盤底の支持構造を損ない、腹圧性尿失禁のリスクを高めることが報告されています。 手術により、膀胱や尿道を支える靭帯や筋膜が損傷を受ける可能性があります。
骨盤臓器脱の併存:
腹圧性尿失禁は、骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤など)と併存することが多く、これらは共通の病態生理(骨盤底支持構造の弱化)を共有しています。 骨盤臓器が下垂することで、尿道の位置や角度が変化し、尿道閉鎖機構が機能不全を起こす可能性があります。
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腹圧性尿失禁は女性に圧倒的に多い疾患ですが、男性でも発症します。 男性の腹圧性尿失禁(Male Stress Urinary Incontinence: MSUI)は、主に前立腺手術後に生じます。
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