あなたの在庫、実は回収対象ロットかもしれません。

グラクソ・スミスクラインは2025年6月16日、フルナーゼ点鼻液について「諸般の事情」を理由に年内をめどに販売を中止すると案内しました。対象は「フルナーゼ点鼻液50μg 28噴霧用」「同56噴霧用」「小児用フルナーゼ点鼻液25μg 56噴霧用」の3品目です。販売中止時期は2025年12月ごろ、経過措置期間の満了は2026年3月末日が予定されています。
参考)https://www.gifu-upharm.jp/di/mguide/salesupply/2g/ss2690562506.pdf
フルナーゼ点鼻液の後発品である「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液」もすでに複数メーカーで販売中止が進んでいます。先発品・後発品ともに供給元が減っている状況ということですね。花粉症シーズン前の在庫確保を考えている医療機関は、早めに卸へ供給状況を確認するのがおすすめです。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/58730/information/FG111131-01.pdf
グラクソ・スミスクライン発行の「フルナーゼ点鼻液」販売中止案内PDF(対象品目・時期・代替品一覧を掲載)
多くの医療従事者は「販売中止=経過措置期間内なら在庫をそのまま使い切ればよい」と考えがちです。ところが2025年11月25日、GSKは「フルナーゼ点鼻液50μg 28噴霧用」と「小児用フルナーゼ点鼻液25μg 56噴霧用」について安定性モニタリングで含量が承認規格を満たさなかったとして自主回収(クラスⅡ)を公表しました。重篤な健康被害の可能性は低いとされていますが、対象ロットが医療機関の在庫に紛れている場合は返品対応が必要になります。
参考)「フルナーゼ点鼻液50μg28噴霧用」、「小児用フルナーゼ点…
一方で「フルナーゼ点鼻液50μg 56噴霧用」は同様の事象が確認されたロットがないため回収対象外です。つまり同じ製品名でも包装単位によって扱いが異なるということですね。院内在庫を確認する際は、製品名だけでなくロット番号まで照合する必要があります。
在庫管理台帳やSAMBA上の共有ファイルにロット番号を記録している施設なら、検索一つで該当ロットの有無を確認できます。まだ体制がない場合は、卸のオンライン発注システムに搭載されている回収情報検索機能を使うと手早く確認可能です。読者が実際に行うべき行動は、まず院内在庫のロット番号を一覧化してGSKの回収情報と照合することです。
GSKpro医療関係者向け情報ページ(自主回収・販売中止の最新告知一覧)
代替品を検討する際は、成分・薬価・包装単位の3点を押さえておくと選びやすくなります。フルナーゼ点鼻液の後発品として流通していた「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg『JG』」は8mL×10瓶で薬価455.60円/瓶でしたが、こちらもすでに販売中止となっています。小児用についても「フルチカゾン点鼻液25μg小児用『日医工』」が2023年に販売中止となり、経過措置は2025年3月末で満了済みです。
参考)https://medical.nihon-generic.co.jp/a.php?id=1211
つまり選択肢は年々狭まっているということですね。現時点で流通している主な代替候補は、他社製のフルチカゾン点鼻液や、モメタゾンフランカルボン酸エステルを主成分とする点鼻薬などです。効果や副作用のプロファイルは成分によって微妙に異なるため、患者の年齢や既往症に応じた選択が求められます。
参考)フルナーゼ点鼻液の代替品選択における効果と副作用の比較検討
処方変更にあたっては、薬価差だけでなく1瓶あたりの噴霧回数(例えば56噴霧用ならおよそ2ヶ月分に相当します)も確認しておくと、患者への説明がスムーズになります。院内採用薬リストを見直すタイミングとしては、経過措置満了の3〜6ヶ月前が目安です。
花粉症治療では点鼻ステロイド薬の切替えが患者のアドヒアランスに直結します。2026年の花粉症シーズンに向けて、医療用フルナーゼが入手困難になったことで、患者から市販薬への切替え相談が増えている点も見逃せません。市販の点鼻薬は薬局・ドラッグストアで購入可能ですが、成分量や適応年齢が医療用と異なる場合があります。
参考)【2026年版】花粉症のフルナーゼは市販で買える?効果が出る…
これは使えそうです、と安易に市販薬を勧める前に、成分名と含有量を必ず確認する必要があります。特に小児患者では年齢制限のある製品も多く、誤った案内は保護者からのクレームにつながりかねません。院内で使える成分対照表を1枚作成しておくと、診察のたびに調べ直す手間を省けます。
代替戦略としては、フルチカゾン系からモメタゾン系やベクロメタゾン系への切替えを段階的に案内する方法があります。切替え初期は効果発現までの日数差(製剤によって数日から1週間程度の差があります)を患者に伝えておくと、途中で自己中断されるリスクを減らせます。
最後に、実務で使える切替えチェックリストを整理します。以下の項目を順に確認すれば、大きな混乱なく移行できます。
これらを一度にやろうとすると負担が大きいので、優先順位をつけて進めるのが原則です。まずロット確認、次に代替品選定、最後に患者説明資料の更新という順番なら問題ありません。院内でExcelやスプレッドシートにチェックリスト化しておけば、担当者が変わっても引き継ぎがしやすくなります。
医薬品供給状況データベースDSJP(小児用フルナーゼ点鼻液の販売中止時期・備考を掲載)
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