あなたが出した処方、実は自主回収対象かもしれません。

フルナーゼ点鼻液は、グラクソ・スミスクラインが2025年6月16日に公式発表した通り、諸般の事情により年内を目途に販売を中止することになりました。
対象は「フルナーゼ点鼻液50μg 28噴霧用」「フルナーゼ点鼻液50μg 56噴霧用」「小児用フルナーゼ点鼻液25μg 56噴霧用」の3品目で、販売中止時期は2025年12月頃、経過措置期間の満了は2026年3月末日予定とされています。
つまり残り期間はごく短いということですね。
ここで意外なのが、単純な事業判断だけで終わらなかった点です。2025年11月25日には安定性モニタリングで含量が承認規格を外れたことを理由に、「フルナーゼ点鼻液50μg28噴霧用」と「小児用フルナーゼ点鼻液25μg56噴霧用」の一部ロットがクラスⅡの自主回収対象となりました。
クラスⅡとは、使用により重篤な健康被害の可能性は低いものの、一時的または医学的に治療可能な健康被害を引き起こす可能性がある区分です。処方していた患者さんが対象ロットを使用していないか、確認が必要になる場面も出てきます。
在庫の噴霧用ボトルに記載されたロット番号を、GSKの案内文書と照合するだけで対象かどうかが分かります。院内在庫がある場合は、この確認作業を後回しにしない方が安全です。
GSK医療関係者向け情報ページでは、自主回収の詳細と対象ロット番号が公開されています。
販売中止に伴い、GSKはいくつかの代替品を案内しています。代表的なものは後発品の「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg」と、同じくGSKが販売する「アラミスト点鼻液」です。
アラミスト点鼻液は成分がフルチカゾンフランカルボン酸エステルであり、フルナーゼとは厳密には別成分になります。作用の強さや持続時間に差があるため、単純な1対1の置き換えではない点に注意が必要です。
見かけが似ていても成分が違うということですね。
小児用については、フルナーゼ点鼻液25μgに対応する後発品の選択肢が限られているケースもあります。processing施設や地域によって在庫状況が異なるため、事前に採用薬リストを確認しておくと切替え時のトラブルを避けやすくなります。
院内の採用薬変更に時間がかかる病院では、電子カルテのオーダーマスタ更新が追いつかず、旧製品名のまま処方が通ってしまう事例も報告されています。処方システムのマスタ更新状況を、薬剤部に一度確認しておくと安心です。
経過措置期間とは、販売中止後も薬局や医療機関の既存在庫を使い切るまでの流通が認められる期間のことです。フルナーゼ点鼻液の場合、この期間は2026年3月末日までとされています。
期限を過ぎると出荷自体が停止するため、在庫がなければ処方しても調剤できません。院内処方の医療機関では、在庫ゼロになった時点で実質的に処方継続が不可能になります。
在庫切れは突然やってきます。
これは在庫管理の面でも見逃せない変化です。3月末が近づくにつれて流通量が急減する可能性があり、繁忙期に代替品への切替えが集中すると、卸への発注が滞ることも想定されます。院内の在庫管理システムで、フルナーゼ関連品目にアラート設定をしておくと、切替えタイミングを逃しにくくなります。
卸側が公開している販売中止案内PDFには、統一商品コード別の詳細な経過措置スケジュールが記載されています。
ここは意外と誤解されやすい部分です。多くの人が「フルナーゼ」という名前を市販薬でも見かけたことがあるため、医療用と市販用が同じ扱いで販売中止になったと思い込みがちです。
しかし実際には、2019年から市販されているOTC版のフルナーゼは、今回の販売中止とは別の製品ラインです。ドラッグストアやオンラインストアでは、OTC版が引き続き販売されているケースが多く報告されています。
医療用と市販用は別物ということですね。
患者さんから「薬局で買えるって聞いたんですが」と質問された場合、成分名と剤形、そして処方薬かOTC薬かという区分を分けて説明すると誤解を防げます。院内掲示や説明文書に、この違いを一行加えておくクレーム防止策として有効です。
切替えの際に患者さんへ伝えるべき情報は主に3つあります。まず薬剤名が変わること、次に噴霧回数や1回量が変更になる可能性があること、最後に効果の実感時期が多少ずれる可能性があることです。
小児用フルナーゼ点鼻液25μgを使用していた保護者には、代替品の対象年齢や用法用量が異なる場合がある点を、特に丁寧に説明した方がよいでしょう。用法を誤ると効果不足やクレームにつながりやすくなります。
説明不足はクレームの元です。
説明の際は、口頭だけでなく簡単な説明メモを渡す方法が有効です。院内で使っている服薬指導用のテンプレートに、フルナーゼ点鼻液の販売中止と代替品情報を追記しておくだけで、窓口での説明時間を短縮できます。
日経メディカルの供給状況コラムでは、販売中止発表当時の業界内の反応や関連情報がまとめられています。
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