
副腎皮質ホルモンの中で最も重要なものの一つが、糖質コルチコイド(グルココルチコイド)です。 代表的なホルモンはコルチゾール(cortisol)で、ヒドロコルチゾンとも呼ばれます。
主な生理作用は以下の通りです。
参考)副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド・コルチゾールの作用) -…
参考)ステロイドがどうしていろいろな疾患で用いられているのかわから…
参考)https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/fukujinhishitsusteroid/
細胞内での作用機序について詳述します。ステロイドホルモンは分子量が300〜500前後の低分子であるため、細胞膜を拡散して細胞内に取り込まれます。 細胞質内にあるグルココルチコイド受容体(GR)に結合した後、複合体は核内へ移行します。 核内でDNA上の特定の配列(グルココルチコイド応答配列)に結合し、標的遺伝子の転写を調節します。
参考)ステロイドホルモン受容体 | 一般社団法人 日本血栓止血学会…
⚠️ 注意:長期使用の副作用
副腎皮質ステロイドの長期使用では、以下の副作用に注意が必要です。
参考)https://www.pharm.or.jp/words/word00940.html
電解質コルチコイド(ミネラルコルチコイド)の代表格が、アルドステロン(aldosterone)です。 副腎皮質の球状層で合成され、主に腎臓の遠位尿細管に作用します。
参考)副腎皮質ホルモン|内分泌
主な生理作用は以下の通りです。
分泌調節のメカニズムは、主にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)によって制御されています。 血圧低下や血流量減少を腎臓が検出すると、傍糸球体細胞からレニンが分泌されます。 レニンは血中のアンジオテンシノゲンをアンジオテンシンIに変換し、さらにアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIIになります。 このアンジオテンシンIIが副腎に作用し、アルドステロンの分泌を促進します。
参考リンク:公益社団法人 日本薬学会「副腎皮質ホルモン」 - 電解質バランス、糖代謝など多くの生理作用について詳しく解説
意外な事実として、アルドステロンはACTHの刺激による分泌亢進は少なく、主にアンジオテンシンIIの刺激で分泌が亢進するという特徴があります。 これは糖質コルチコイドとの大きな違いです。
副腎皮質ホルモンは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、生命維持に不可欠なホルモンです。 外部からの刺激(ストレッサー)により分泌が増加する特徴があります。
視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)の調節機構は以下の通りです。
1. 視床下部で副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌される
参考)副腎皮質刺激ホルモン - Wikipedia
2. CRHが下垂体前葉に作用し、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促す
3. ACTHが副腎皮質に作用し、コルチゾールの分泌を促進する
4. 血中コルチゾール濃度が上昇すると、視床下部と下垂体にネガティブ・フィードバックで抑制をかける
分泌のリズムについて、コルチゾールは日内変動を示し、早朝(午前6〜8時頃)に最高値、夜間に最低値になります。 このリズムは睡眠覚醒サイクルと密接に関連しています。
参考)https://pha.medicalonline.jp/img/cat_desc/MFd_table1.html
参考リンク:名古屋大学医学部附属病院「副腎とは」 - 副腎の構造とホルモンの基本機能について解説
副腎皮質ステロイドは臨床で幅広く使用される薬剤ですが、その作用と副作用を正しく理解することが重要です。
主な治療用途は以下の通りです。
副作用の管理について、以下の点に注意が必要です。
| 副作用 | 機序 | 対策 |
|---|---|---|
| 感染症増悪 | 免疫抑制作用 | 感染徴候の早期発見 |
| 骨粗しょう症 | 骨形成抑制 | カルシウム・ビタミンD補充 |
| 糖尿病 | 糖新生促進 | 血糖値モニタリング |
| 副腎萎縮 | ネガティブフィードバック | 漸減による中止 |
| 消化性潰瘍 | 胃酸分泌促進 | 胃粘膜保護剤の併用 pharm.or(https://www.pharm.or.jp/words/word00940.html) |
急激な中止の危険性について、副腎皮質ステロイド剤の多量投与により副腎皮質からのホルモン分泌機能が低下している場合、ステロイド薬の急激な中止や減量により、以下の症状が現れることがあります:
参考リンク:日本リウマチ学会「副腎皮質ステロイド」 - 作用機序と臨床使用について詳しく解説
ここからは、あまり知られていない副腎皮質ホルモンの意外な働きについて解説します。
骨代謝への影響について、コルチゾールは骨形成を抑制する作用があります。 具体的には、骨芽細胞の機能を抑制し、骨吸収を促進します。 長期使用で骨粗鬆症のリスクが高まるため、カルシウムとビタミンDの補充が推奨されます。
免疫系への影響として、コルチゾールは以下の作用があります。
神経系への影響について、副腎皮質ホルモンは中枢神経系にも作用します。 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、副腎皮質から分泌される男性ホルモンで、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるγ-aminobutyric acid(GABA)を抑制する作用もあります。 DHEAは20歳代で分泌がピークになり、加齢とともに減少します。
意外な事実として、副腎皮質ホルモンは「許容作用」と呼ばれる作用もあります。 これは、他のホルモン(カテコールアミンなど)の作用を発現させるために必要な濃度を維持する作用です。 副腎皮質ホルモンが不足すると、カテコールアミンの血管収縮作用などが十分に発揮されなくなります。
参考リンク:看護roo!「副腎皮質ホルモン」 - 糖質コルチコイド、電解質コルチコイド、ストレスホルモンなどについて詳しく解説
副腎皮質ホルモンの分泌が異常になると、以下の疾患が生じます。
クッシング症候群(Cushing syndrome)は、コルチゾールの分泌過剰による症候群です。 主な症状は以下の通りです:
アルドステロン症(原発性アルドステロン症、コン症候群)は、アルドステロンの分泌過剰によって発症します。 主な症状は以下の通りです:
アジソン病(Addison disease)は、副腎皮質が結核などによって障害され、多くの副腎皮質ホルモンが欠如した状態です。 主な症状は以下の通りです:
参考リンク:難病情報センター「クッシング病」 - 指定難病75としての詳細情報
診断について、副腎皮質機能検査では、血中コルチゾール濃度や尿中コルチゾール排泄量を測定します。 クッシング症候群の診断には、デキサメタゾン抑制試験が用いられます。
参考)副腎皮質機能検査(副腎皮質ホルモン検査 / Adrenal …