炎症性腸疾患 症状 診断 治療 合併症

炎症性腸疾患の主な症状から腸管外合併症、診断基準、治療法まで網羅的に解説。医療従事者向けに内視鏡所見や病理組織像のポイントも詳しく紹介します。早期発見・適切な治療のために知っておくべき情報をまとめました。

炎症性腸疾患 症状

炎症性腸疾患 症状の全体像
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主な消化器症状

下痢・血便・腹痛・発熱が代表的な症状で、寛解と再燃を繰り返します

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腸管外合併症

関節・皮膚・眼・肝胆膵など全身の臓器に多彩な病変が認められます

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診断と治療

内視鏡検査・病理組織検査で確定診断し、薬物療法・栄養療法で症状改善を図ります


炎症性腸疾患 症状 下痢 血便 腹痛



炎症性腸疾患(IBD)の代表的な症状は、慢性的に続く下痢・血便・腹痛・発熱です。これらの症状が良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返しながら長い年月続くことが特徴的です 。


参考)https://www.med.jrc.or.jp/tabid/802/Default.aspx


  • 潰瘍性大腸炎(UC):直腸から連続的に口側へ炎症が広がり、1日5~10回前後の下痢・血便が続きます。重症では1日に20回以上の下痢・血便が起こり、貧血や腹痛、発熱を伴います 。

  • 参考)炎症性腸疾患|渋谷駅直結SHIBUYAサクラステージ5F|ゆ…

  • クローン病(CD):口から肛門までの全消化管に炎症が及び、小腸・大腸・肛門が好発部位です。下痢・腹痛・発熱・体重減少が主症状で、肛門病変(痔瘻・肛門周囲膿瘍)を伴うことが多いです 。

  • 参考)炎症性腸疾患


症状の重症度は、排便回数・血便の有無・発熱・頻脈・貧血・赤沈値・体重増加などから評価されます。重症基準を満たす場合、速やかな治療介入が必要です 。


参考)http://www.ibdjapan.org/for_medical/pdf/doc07.pdf


炎症性腸疾患 症状 腸管外 関節 皮膚 眼

炎症性腸疾患は、腸の病気だけでなく、全身性の症状(腸管外合併症)を伴うことが少なくありません。腸管外合併症の発生頻度は6~47%と報告されており、関節・皮膚・肝胆道・眼など多彩な臓器に影響を及ぼします 。


参考)炎症性腸疾患の腸管外合併症 (胃と腸 59巻10号)


主な腸管外合併症


  • 関節症状:20~40%の患者さんが関節痛や関節炎を発症します。末梢性関節症(少関節炎型・多関節炎型)と脊椎関節炎(強直性脊椎炎・仙腸関節炎)があります。関節症状はIBDの活動性と関連する場合と、独立して経過する場合があり、注意が必要です 。

  • 参考)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)と関節の痛み &#8…

  • 皮膚症状:結節性紅斑(下腿に赤い結節)、壊疽性膿皮症(壊死性潰瘍)、Sweet症候群、アフタ性口内炎などが認められます 。

  • 眼部症状:上強膜炎(結膜の炎症)、ぶどう膜炎(虹彩・毛様体・脈絡膜の炎症)が高頻度に認められます。ぶどう膜炎は視力低下を招くため、眼科的治療との連携が重要です 。

  • 肝胆膵・腎尿路:原発性硬化性胆管炎(PSC)、自己免疫性膵炎、腎尿路結石などが合併することがあります 。

  • 血管合併症:血栓塞栓症はIBDの病勢よりも重篤となることがあり、注意を要します 。


腸管外合併症は、腸の疾患活動性の上昇に伴って発生するもの(結節性紅斑、上強膜炎)と、独立した経過をたどるもの(強直性脊椎炎、ぶどう膜炎、PSC)があります。治療方針の決定には、腸管外病変の活動性を考慮する必要があります 。



炎症性腸疾患 症状 診断 内視鏡

炎症性腸疾患の確定診断には、内視鏡検査と病理組織検査が不可欠です。内視鏡検査では、炎症の性状・範囲・重症度を評価し、感染性腸炎や薬剤性腸炎との鑑別を行います 。


参考)大腸炎の生検組織診断 (消化器内視鏡 36巻11号)


内視鏡所見の特徴


  • 潰瘍性大腸炎:直腸から連続性に広がる粘膜の発赤・腫脹・びらん・潰瘍が認められます。長期炎症では、偽ポリープや大腸がんの発生に注意が必要です 。

  • クローン病:非連続性(とびとび)の炎症が特徴で、縦走潰瘍・敷石様所見・狭窄・瘻孔が認められます。全層性の炎症のため、腸管の壁の全てに炎症が及ぶことが特徴です 。

  • 参考)炎症性腸疾患|北里大学北里研究所病院(東京都港区)


炎症性腸疾患 症状 診断 病理組織 検査

病理組織検査は、炎症性腸疾患の確定診断において重要な役割を果たします。しかし、炎症性疾患では病変部から正確な組織生検が行われていても、確定診断に至らないケースも少なくありません 。



病理組織所見のポイント


  • 粘膜固有層への炎症細胞浸潤:単核細胞・形質細胞を中心とした炎症細胞浸潤が認められます 。

  • 参考)早期発症型炎症性腸疾患 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情…

  • 顆粒状粘膜やびらん・多発性潰瘍:内視鏡と病理のカラー報告書の添付が必須です 。

  • 全層性炎症:クローン病では、腸管壁の全層に及ぶ慢性炎症が特徴で、線維性狭窄や瘻孔形成をきたします 。

  • 参考)http://www.igaku.co.jp/pdf/1910_wocnursing-3.pdf

  • 非特異的な炎症像:感染症や薬剤性腸炎との鑑別が必要で、組織所見と内視鏡所見・臨床所見を併せて診断することが重要です 。


早期発症型炎症性腸疾患の診断基準では、臨床症状・検査所見と補助所見を組み合わせ、既知の免疫不全症や消化管アレルギーを除外する必要があります 。



炎症性腸疾患 症状 合併症 狭窄 瘻孔

クローン病は、腸管壁の全層に及ぶ慢性炎症のため、繰り返す炎症により潰瘍部の腸管が線維性狭窄を起こし、慢性的な通過障害を生じます。これら狭窄性病変のうち、イレウス管による減圧や内視鏡的バルーン拡張術、薬物治療、栄養療法で改善しない症例が手術適応となります 。



腸管合併症の種類


  • 狭窄:腸管の壁の全層に及ぶ炎症により、線維性狭窄や閉塞をきたします 。

  • 瘻孔:全層性の潰瘍を生じるため、内瘻や外瘻などの瘻孔形成、膿瘍、痔瘻や肛門周囲膿瘍などの肛門周囲病変が高率に合併します 。

  • 穿孔:炎症が増悪すると深い潰瘍から穿孔を起こすことがあります 。

  • 大腸がん:長期間炎症が続くことで大腸がんを合併する場合もあります 。


瘻孔や膿瘍形成は、薬物治療などの保存的治療により良好なQOLが得られる場合もあり、病勢に応じて手術適応を決める必要があります。一般的に保存的治療で改善しない症例、内瘻化して腸管のバイパスが形成されることによる吸収障害をきたした症例、癒着などによる通過障害をきたした症例が手術適応となります 。



炎症性腸疾患 症状 独自視点 早期発症型 診断基準

早期発症型炎症性腸疾患(6歳未満発症)は、成人与されるIBDとは異なる病態を示すことがあります。早期発症型IBDの診断基準は、臨床症状・検査所見と補助所見を組み合わせ、既知の免疫不全症や消化管アレルギーを除外する必要があります 。



早期発症型IBDの診断基準


A. 臨床症状・検査所見(1~3を含む4項目以上を満たす)


  • 6歳未満で、4週間以上続く肉眼的血便もしくは便潜血陽性の血性下痢で発症し、その改善に、完全成分栄養、中心静脈栄養、もしくは副腎皮質ステロイド等の免疫抑制療法を必要とした 。

  • 消化器内視鏡検査にて小腸もしくは大腸に、顆粒状粘膜やびらん、多発性潰瘍を認め、病理組織にて、粘膜固有層への単核細胞・形質細胞を中心とした炎症細胞浸潤を認める 。

  • 便培養が陰性で、クロストリジウム・ディフィシール毒素が陰性である 。

  • 免疫抑制療法(副腎皮質ステロイド他)の投与により血性下痢が改善した 。

  • 2週間以上の中心静脈栄養を必要とした 。


B. 補助所見(2項目以上を満たす)


  • 体重増加不良
  • 貧血
  • 低アルブミン血症(血清アルブミン値 < 3.5 g/dL)
  • 成分栄養剤の投与にて、下痢が改善する
  • 難治の痔瘻・肛門周囲膿瘍・直腸膣瘻


C. 参考条項


  • 既知の免疫不全症(慢性肉芽腫症、分類不能型免疫不全症、Wiscott-Aldrich症候群など)、消化管アレルギーが除外されていること 。

  • 十二指腸の難治性病変にあたっては、H.pylori感染症、NSAIDs潰瘍が除外されていること 。

  • 6歳までは1年毎に病態と治療内容を明記して更新条件を満たす必要があり、初回申請時とその後、少なくとも3年に1回は消化器内視鏡検査を行い、腸管の粘膜状態を内視鏡・病理組織にて評価し、そのレポートを添付する必要がある 。


早期発症型IBDは、成人型とは異なる遺伝的背景や免疫学的機序を持つ可能性があり、治療方針の決定には注意が必要です。


参考リンク


日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2023:IBDの診断・治療・経過観察の標準的な指針が記載されています。


炎症性腸疾患内視鏡診療ガイドライン:内視鏡検査の適応・所見・評価方法について詳しく解説されています。

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