
第72回臨床検査技師国家試験は、令和8年2月18日に実施されました。厚生労働省は、午前問題、午前問題別冊、午後問題、午後問題別冊、正答を公開しています。国家試験の解説を作成・参照する際は、受験対策サイトやSNS上の記憶ベースの再現問題だけに依存せず、最初に公式の問題冊子と正答値表を確認することが重要です。画像問題、波形問題、顕微鏡像、表や図を含む設問では、本文だけを抜き出すと判断に必要な情報が欠けることがあるためです。
参考)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-07.html
第72回の受験者数は4,693人、合格者数は3,976人、合格率は84.7%でした。新卒者では4,064人が受験し、3,793人が合格しており、合格率は93.3%です。一方、既卒者を含む受験者全体の数字と新卒者の数字は意味が異なるため、学習計画を立てる際に合格率だけを見て「簡単だった」「十分に合格できる」と判断するのは避けるべきです。自分の模試成績、分野別正答率、過去問の再現性を基準に到達度を評価します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken07/about.html
厚生労働省「第72回臨床検査技師国家試験問題および正答について」
なお、第72回は1問1点、合計199点満点として採点され、合格基準は総得点120点以上でした。本来は200問構成でも、採点除外などの取扱いにより満点が変わる場合があります。したがって、過去問演習で自己採点を行うときは、単純に「200問中何問正解したか」だけを記録するのではなく、当該回の公式発表にある満点、採点除外、正答修正の有無を必ず確認する必要があります。
第72回の合格基準は199点中120点以上であり、得点率にすると約60.3%です。ただし、これは最低限の合格基準であり、本試験で120点付近を狙う学習は安定性に欠けます。問題文の読み落とし、画像問題の見誤り、計算過程のミス、消去法の失敗などにより、数問単位で得点が変わるためです。日常の演習では、基礎問題で失点しないことを優先し、そのうえで症例形式や統合問題に対応できるようにすることが現実的です。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 試験実施日 | 令和8年2月18日 | 第72回臨床検査技師国家試験 |
| 受験者数 | 4,693人 | 全体の受験者数 |
| 合格者数 | 3,976人 | 全体の合格者数 |
| 全体合格率 | 84.7% | 新卒者は93.3% |
| 配点 | 1問1点、199点満点 | 採点除外等を反映した満点 |
| 合格基準 | 120点以上 | 公式発表の基準 |
得点管理では、正答数だけでなく、問題を「確実に正解できた」「迷ったが正解した」「迷って不正解だった」「知らずに不正解だった」の4群に分けて記録すると有効です。特に「迷ったが正解した」問題は、偶然の正解として見過ごされやすい領域です。本番で再現性を持って得点するには、なぜ他の選択肢を除外できるのか、条件が変わると答えがどう変わるのかまで説明できる状態にします。
また、正答が120点に届いていても、基礎的な法規、精度管理、感染対策、採血、検体取扱い、臨床検査総論での失点が多い場合は注意が必要です。これらは単独分野としてだけでなく、微生物学、血液学、病理学、生理学、臨床化学、輸血検査などの複数分野の設問に横断的に関わります。知識の穴を早期に埋めるほど、症例問題の選択肢を安全に絞り込めるようになります。
第72回の解説では、「正答は何番か」を確認するだけでは学習効果が限定されます。臨床検査技師国家試験は、用語の定義、検査原理、基準範囲、検体や試薬の取扱い、疾患病態、検査前後の誤差要因を関連付けて問う試験です。1問ずつ、設問が本当に問うているテーマを特定し、正答根拠と誤答根拠を分けて整理しましょう。
例えば、臨床化学の設問では、分析物の増減だけを暗記するのでは不十分です。溶血、乳び、黄疸、採血後の放置、抗凝固剤、体位、運動、食事など、検査前の条件が測定値や解釈に及ぼす影響を整理します。さらに、測定原理が酵素法、比色法、免疫測定法、電極法などのどれに当たるかを確認すれば、妨害因子や精度管理の設問にも応用しやすくなります。
解説ノートには、問題文を丸写しするよりも、「問われた論点」「正答根拠」「誤答の訂正」「関連する基準値・原理」「次に同様の問題で確認する事項」という固定欄を設ける方法が実践的です。電子ノートや表計算ソフトを使う場合は、分野、出題テーマ、誤答理由、再確認日、関連問題番号を列にすると、弱点を検索・抽出しやすくなります。
復習は、正答値表と照合して終えるのではなく、時間を分けて複数回行うと定着しやすくなります。1回目は本番に近い条件で解き、自分が選んだ回答と根拠を残します。2回目は公式正答と照合して、誤答問題だけでなく、正解したが根拠が曖昧な問題も抽出します。3回目は分野別に並べ替え、関連する教科書・講義資料・出題基準に戻って知識を補強します。
第72回の公式資料には、午前・午後それぞれの問題と別冊が掲載されています。別冊に収載された画像や図表は、問題文だけでは代替できない情報です。印刷して書き込みながら確認する場合も、PDF上で拡大表示する場合も、画像の特徴を「どの構造が見えるか」「どの所見が決め手か」「何と鑑別するか」という形で記録します。生理機能検査の波形、心電図、超音波、病理組織、血液像、微生物像などは、視覚情報を言葉に変換する反復が重要になります。
特に不正解だった問題は、解説を読んで理解した直後に終わらせないことが大切です。翌日、1週間後、2〜4週間後のように間隔を空け、選択肢を見ずに根拠を再生してください。再生できなければ、知識はまだ「見れば分かる」段階です。問題番号だけで復習するのではなく、「抗原抗体反応」「凝固因子」「尿沈渣」「内部精度管理」「心電図誘導」などテーマ単位で再確認すると、設問の形が変わっても対応できるようになります。
厚生労働省「第72回臨床検査技師国家試験の合格発表について」
第72回の解説を次回試験対策に生かすには、過去問を「出た問題」として消費するのではなく、「出題者が確認したい能力」を読み取る教材として扱います。臨床検査技師には、測定そのものだけでなく、適切な検体の取扱い、精度保証、感染防御、結果の妥当性確認、臨床側への適切な情報提供が求められます。国家試験でも、こうした実務につながる基礎理解を問う設問は重要です。
学習の優先順位は、正答率の低い分野を機械的に増やすことだけで決めません。まず、どの分野でも繰り返し使う土台を固めます。具体的には、解剖生理、臨床病理総論、臨床検査総論、医動物・微生物の基本、免疫反応、検査法の原理、精度管理、医療安全、関係法規です。その後、血液、臨床化学、病理、微生物、生理、輸血、遺伝子関連検査などの専門分野で、知識と症例判断を往復させます。
模擬試験や過去問で目標点を設定する際は、合格基準ぎりぎりではなく、基礎問題での取りこぼしを減らしたうえで余裕を持つ得点帯を目指します。誤答ノートが増えすぎる場合は、すべてを書き写すのではなく、再発防止に必要な情報だけに圧縮してください。例えば、「EDTA依存性血小板凝集は偽性血小板減少の原因」「溶血は特定項目の測定・解釈に影響」「内部精度管理は日内・日差の変動監視」といった短い自分用ルールにすれば、直前期にも見返しやすくなります。
第72回の公式問題と正答は、学習の到達度を測る信頼できる素材です。しかし、1回分の結果だけで出題傾向を断定することはできません。複数年分を比較し、同じテーマがどのように問われ方を変えているかを確認してください。知識の正確さ、設問読解、画像・波形の判別、計算、臨床との結び付けという複数の力を並行して鍛えることが、安定した合格圏への近道になります。