
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関わる酵素反応において補酵素として働く重要な栄養素です。体内で合成できないため、食べ物から継続的に摂取する必要があります。ビタミンB6が多く含まれる食品には、動物性食品と植物性食品の両方があり、それぞれ特徴的な含有量と生体利用能の差が見られます。
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動物性食品では、魚介類の中でも特にまぐろ(赤身)が100gあたり0.85~0.94㎎と含有量が高く、かつお、さけ、さばなども優れた供給源です。鶏ささみや鶏むね肉、牛レバー、豚ヒレ肉も100gあたり0.5~0.9㎎の範囲でビタミンB6を豊富に含みます。
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植物性食品では、にんにく(生)が100gあたり1.53㎎と非常に多く、ピスタチオも1.22㎎と突出しています。ごま、焼きのり、玄米、バナナも日常的に摂取しやすい食材として注目されます。
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ただし、ビタミンB6の吸収率は食品の種類や加工方法によって異なり、植物性食品に含まれるビタミンB6の一部は糖鎖と結合したグリコシル化形態で存在します。この形态は、動物性食品に含まれるビタミンB6に比べて吸収効率が低いことが知られています。
参考)厚生労働省eJIM
ビタミンB6は、補酵素として体内で100種類以上の酵素反応に関わります。特に、アミノ酸の代謝、神経伝達物質の合成、免疫機能の維持、赤血球の生成において中心的な役割を果たします。
参考)https://medibalance.lotte.co.jp/post/57
アミノ酸代謝においては、トランスアミナーゼ、デカルボキシラーゼ、脱アミノ酵素などの酵素反応においてピリドキサール5'-リン酸(PLP)が補酵素として機能します。これにより、たんぱく質の合成と分解を支え、エネルギー産生を助けます。
神経伝達物質の合成においては、セロトニン、ドーパミン、GABA、ノルアドレナリンなどの生合成に関与します。これにより、気分や睡眠リズム、認知機能に影響を及ぼします。
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免疫機能においては、リンパ球の増殖やインターロイキン2の産生を促進し、免疫応答を強化します。不足すると、細胞性免疫機能が低下すると報告されています。
ビタミンB6は、血中ホモシステイン濃度を正常に保つ作用もあります。ホモシステインは、アミノ酸代謝の中間体であり、高ホモシステイン血症は心血管疾患のリスク因子となります。
厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のビタミンB6推奨摂取量は18~29歳男性で1.5㎎/日、女性で1.2㎎/日とされています。50歳以上では、男性1.7㎎/日、女性1.5㎎/日と若干増加します。
許容上限摂取量(UL)は、18歳以上男性で100㎎/日、女性で100㎎/日とされています。ただし、欧州食品安全機関(EFSA)は2023年に、すべての成人で12㎎/日への引き下げを提言しました。
妊娠中および授乳中の女性は、つわりや胎児・乳児の発育のために通常より多くのビタミンB6が必要となります。妊娠中は1.9㎎/日、授乳中は2.0㎎/日と推奨量が設定されています。
ビタミンB6は水溶性ビタミンであり、過剰分は尿中に排泄されますが、長期にわたる高用量のサプリメント摂取(1日100㎎以上)では、感覚ニューロパチー(末梢神経障害)のリスクがあるとされています。
ビタミンB6が不足すると、小球性貧血、口唇炎、舌炎、皮膚炎、うつ、錯乱、免疫機能の低下などの症状が現れる可能性があります。
早期の不足では、血漿PLP濃度の低下や、赤血球アミノトランスフェラーゼの活性の低下が生化学的な指標として現れます。臨床症状が出る前に、これらを検査することで早期発見が可能です。
特定のリスク群では、注意が必要です。例えば、腎疾患(慢性腎不全、末期腎疾患)では、ビタミンB6のクリアランスが増加し、血漿PLP濃度が低下します。また、アルコール依存症、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎などの吸収不良性疾患でも、ビタミンB6不足が報告されています。
妊娠中の悪心・嘔吐(つわり)に対して、ビタミンB6サプリメント(ピリドキシン)が効果を発揮することがあります。ACOG(米国産婦人科学会)は、妊娠中の悪心・嘔吐に対して、1回10~25㎎のピリドキシンを1日3~4回の投与を推奨しています。
ビタミンB6の吸収率は、食品の種類や加工方法によって大きく異なります。これが、栄養指導や食事療法の現場で見過ごされがちな重要なポイントです。
動物性食品に由来するビタミンB6は、主にピリドキサール5'-リン酸(PLP)やピリドキサミン5'-リン酸(PMP)の形態で存在し、吸収率は約75%とされています。
一方、植物性食品に含まれるビタミンB6は、ビタミンB6の一部が糖鎖と結合したピリドキシングリコシド(PN-G)の形態で存在します。このグリコシド形態は、小腸での吸収が不完全で、吸収効率は動物性食品の約1/2~2/3程度とされています。
さらに、調理加工によってもビタミンB6の保持量は変化します。水溶性であるため、茹でる工程では、30%~50%が煮汁に溶出します。炒める、蒸す、焼くなどの調理法では、保持率が高まります。
缶詰やレトルト食品などの加工食品では、ビタミンB6の保持率は加工プロセスによって異なりますが、一般的に生鮮食品に比べて保持率が低下します。なお、強化食品やサプリメントでは、吸収率の高いピリドキシン(塩酸ピリドキシン)が使用されることが多く、これは食品由来のビタミンB6よりも生体利用能が高いとされています。
厚生労働省 eJIM|ビタミンB6 医療関係者向け情報(推奨量、上限量、相互作用など)
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)ビタミンB6 推奨量・上限量
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