
アタラックス錠(一般名:ヒドロキシジン塩酸塩)は、第一世代抗ヒスタミン薬に分類される医薬品で、抗アレルギー性緩和精神安定剤として位置づけられています。この薬剤の最大の特徴は、かゆみ止めと不安止めの 2 つの作用を併せ持っている点にあります。
参考)医療用医薬品 : アタラックス (アタラックス−P注射液(2…
有効成分であるヒドロキシジンは、体内で以下の 2 つの重要な働きを発揮します。
参考)アタラックス/アタラックスPの効果と副作用を解説!【医師監修…
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051633.pdf
医薬品インタビューフォーム(JAPIC): 作用機序の詳細な薬理学的データが記載
皮膚科領域において、アタラックス錠は以下のような適応疾患に使用されます。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=51632
皮膚科領域での標準的な用法・用量は、ヒドロキシジン塩酸塩として通常成人 1 日 30~60mg を 2~3 回に分割経口投与します。症状の程度や年齢によって適宜増減しますが、血中濃度を一定に保つために決まった時間に服用するのが基本です。 アタラックス錠10mgの基本情報(副作用・効果効能・電子添文…
かゆみの治療では、1 日 25mg~75mg 程度で処方されることも多く、症状が強いからといって自己判断で回数や量を増やしたり、追加で飲んだりしてはいけません。実際の診療では、「夜だけ」「就寝前のみ」などの指示で使われることもあります。
精神科領域では、アタラックス錠は神経症における不安・緊張・抑うつの症状緩和に使用されます。ただし、気分が落ち込む「抑うつ」そのものを治療する抗うつ薬ではなく、あくまで緩和精神安定剤として位置づけられています。
神経症における不安・緊張・抑うつへの標準的な用法・用量は、ヒドロキシジン塩酸塩として通常成人 1 日 75~150mg を 3~4 回に分割経口投与します。成人には 1 日 75mg 程度から開始し、症状に応じて 1 日 150mg 程度まで増量されることがあります。
アタラックスの抗不安作用の機序については、以下の点が注目されています。
精神科での使用にあたっては、ベンゾジアゼピン系抗不安薬とは異なる作用機序を持つため、依存性や耐性の問題が比較的少ないという利点があります。ただし、眠気や倦怠感が非常に高い頻度で報告されているため、服用中は自動車の運転や危険な機械の操作は控えるよう指導する必要があります。
高津心音メンタルクリニック: セロトニン受容体との相互作用に関する詳細な解説
アタラックス錠は、麻酔前投薬として手術の前に気分を落ち着かせる目的で使用されることもあります。また、術前・術後の悪心・嘔吐の防止にも効果が認められています。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000206582.pdf
麻酔前投薬としての利点は以下の通りです。
術前・術後の悪心・嘔吐の防止については、ヒドロキシジンの抗ヒスタミン作用と中枢抑制作用が相乗的に働き、嘔吐中枢の興奮を抑制することで効果を発揮します。
注射剤(アタラックス-P 注射液)も用意されており、静脈内注射または筋肉内注射で使用できます。静脈内注射の場合、通常成人 1 回 25~50mg を必要に応じ 4~6 時間毎に投与しますが、1 回の静注量は 100mg を超えてはならず、25mg/分以上の速度で注入しないこととされています。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=4345
ただし、この併用には注意も必要です。両剤ともに中枢神経抑制作用を有するため、併用により作用が増強されるおそれがあります。また、呼吸抑制や過度の鎮静のリスクも高まるため、患者の状態を慎重にモニタリングしながら使用する必要があります。
参考)医療用医薬品 : アタラックス (アタラックス−P散10%)
腎機能が低下している患者では、最高血中濃度に到達するまでの時間(注射後約 2 時間)と副作用発現時間が一致する可能性があり、過剰投与に注意が必要です。
参考)全日本民医連
この使用法は添付文書の適応外使用にあたる可能性がありますが、臨床現場では一定の根拠に基づいて使用されている実態があります。医療従事者として、このような意外な使用法も知っておくことは、患者さんへの適切な薬物治療の選択肢を広げることにつながります。
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